Space Battleship ヤマトの感想(ネタバレあり)

普段このサイトでは映画の感想とか書かないんだけど、小学生の頃毎週放送開始時は動悸が激しくなって死ぬかと思うほどヤマトにはまった人間の一人として、書かせてもらおうと思う。結論としてかつてヤマトが好きだったファンは見る価値がある。全面的にネタバレでいくので見たくない人は見ないように。

まず思ったのは旧作アニメ版にあったエピソードを非常にうまく再構築しているということ。二時間ちょいの映画に詰め込むために余計な要素はそぎ落とし、かつ多くのシーンを再現している。なお、この映画は「宇宙戦艦ヤマト」と「さらば宇宙戦艦ヤマト」の合体と言っていい。とはいっても別に白色彗星帝国が出てくるわけではない。あと石津嵐版小説の影響もちょっとあるかも。以下壮大にネタバレしてるので文字色を白にしています。読みたい方は選択して読んでね。

映画の冒頭はアニメでは冥王星会戦だったあの戦い。今作では火星近傍。前回通用したはずの攻撃がほんの短い間に通用しなくなっているという描写で、ガミラスの艦船の異様な進化を見せている。これはガミラスが地球人とは全く異なる種族であることを暗示している。古代守はここで死んであとは出てきません。

古代と島が火星にいた新米宇宙戦士という設定はすっぱりカット。イスカンダルからのカプセルは地球上で拾う。古代は新米兵士ではなく、かつて名をはせたエースパイロットという設定。ガミラス侵攻初期に遊星爆弾を撃墜したりという結構な戦果を上げていたが、ある事情で軍を除隊し、危険な地表でのレアメタル集めに従事している。なお、腰に付けたセンサー・コンピューターがアナライザーなんである。あの声でしゃべってくれるのだ。ロボット形態は後で出てくる。致死量を超える放射能が充満していることを指摘するアナライザー。ここでイスカンダルのカプセルが落下。衝撃で吹き飛ばされる古代は防護マスクを失うが、なぜか周囲の放射能が消えている。これ伏線。

ヤマトが発進するとき、アニメでは偵察に来たガミラス空母を主砲で撃退。次の回に冥王星から送られてきた巨大ミサイルを同じく主砲で破壊する展開だが、今回は端から惑星間ミサイルがやってくる。これをテストを兼ねた波動砲発射で撃墜。巨大な爆炎に包まれるヤマト。ここで長官が「蒸発したか」。もうこのセリフでうれしくなるよね。もっとも「多分、溶けて蒸発してしまったのでは」はもとのTV版では出てこないセリフなので、松本版やその他の情報色々まざった記憶が刺激される形なんだけど、そういうごちゃまぜなヤマトの記憶がまとめて刺激される作りになっている。なお、このときの地表近くで発射した波動砲の衝撃波で土煙が起こる映像はなかなかすばらしい。ここで波動砲使うので浮遊大陸はなし。

ワープテストを行うヤマト。あまりにあっさりテスト終了しちゃうので「あれ?」と思ったけど。ワープ直後に敵襲を受ける。ここでブラックタイガーが出撃。アニメで山本が被弾してワープギリギリなんとか帰還するあのエピソードを森雪でやっちゃう。これも「うまい」と思った。ここで言っちゃうと、もともとの森雪は生活班長なのになぜか艦橋でレーダー睨んでる変なポジションだったので、パイロットにしたのは正解。しかもツンデレですよ。その代わり艦橋要員の中で相原が女になっちゃったけどww

ヤマトのワープに巻き込まれたガミラス戦闘機を捕獲する展開。TV版であったガミラス捕虜の回を思い出すのだけど、これは非常に重要なシーン。戦闘機に生命反応がないという真田さん。無人戦闘機なのかと思ったらいかにもなエイリアンが飛び出す。赤坂サカスで展示されてるガミラス兵ね。こいつを攻撃すると結晶状の物質が飛び出す。この結晶がガミラス人であるらしい。要するにエイリアンのボディはモビルスーツだ。ガミラスは集合意識体であり、結晶状の物体はその要素に過ぎない。結晶が光に変わって斉藤に憑依し、地球人の言葉で説明する。自分はデスラーだと。ガミラスという呼称は地球人が使っている呼び名に過ぎない。つまり「デスラー」=「ガミラス」が集合意識体そのもの。捕虜となった結晶もその一部。

太陽系から出るヤマト。通信限界を超えるというので各自家族との通信を許す。このエピソード、なんていうか映画にするなら削ってもよさそうなのに入れている。全体に駆け足気味なストーリーでキャラクターの背景を描くのにこれがいい感じで効果を上げている。もとのアニメではこのシーンにいない斉藤のシーンがいい。

いよいよイスカンダルに到着するヤマト。だがガミラスの攻撃を受ける。アニメと異なり、イスカンダルとガミラスは同じ星だった。青い海に覆われたイスカンダルの面と、遊星爆弾の被害にあった地球によく似た赤いガミラスの面を半分ずつ持つ星、それがイスカンダル=ガミラスだった。

実はイスカンダルからのカプセルには「放射能除去装置」についての情報は全く存在していなかった。あったのは波動エンジンの設計図とイスカンダルの特定の場所へのナビゲーションデータのみ。カプセルを拾ったときに、古代が地表でマスクが外れていたのに死ななかった事実から、イスカンダルには「もしかしたら放射能辞去の技術があるのではないか」と考えた沖田の賭だった。

ここで古代は通信カプセルで指示されたポイントへ侵入することを決意する。空間騎兵隊を連れて地表に降りるのだ。ガミラスっぽい地下空間を進んでいくと、「イスカンダル」の閉じ込められている場所に出る。この課程でアナライザーのロボットボディがスター・ウオーズのアストロメクドロイドよろしくコスモゼロにドッキングしているのを見てまたにやり。アナライザーとR2-D2の類似はヤマトファンなら当然踏まえてるよね。なお、宣伝で公開された着ぐるみのアナライザーは、基本デザインは一緒だけど人が入るために多少微妙なゆるさが追加されちゃってる。作品中では完全CGなのではっきり言って別物である。群がるガミラス兵をなぎ倒すアナライザーは一見の価値あり(笑)。

「イスカンダル」は集合意識体の中で、惑星の寿命とともに滅びることを選んだ一部であり、他星系を改造して移り住む「ガミラス」から分離した存在だった。この辺の惑星ガミラス=イスカンダルの描写はむしろ「さらば」のテレザード星に近い。洞窟を進んでいくと幽閉された「イスカンダル人」である結晶体が待っているという形。ここで「放射能除去装置というものはないが、私が行けば放射能を除去できる」と聞かされ、沖田の賭があたりだったことがわかる。

真田さんと斉藤がガミラスの中枢に爆弾を仕掛けることに成功。ヤマトはなんとかガミラスを脱出する。斉藤の「さらば」でのあのシーンはまるっきりそのまま再現される。

銀河に帰還するヤマト。地球に接近したそのとき、出現するガミラスの巨大戦艦。ここはヤマト最終回のデスラー逆襲と、白色彗星の超巨大戦艦出現シーンをダブらせた形。ガミラス星の天井にぶら下がっていた建築物が戦艦だったというコンセプトまで踏襲している。そこで艦橋に現れる結晶の集合体で形作られた人型の「デスラー」。声はもちろん伊武雅刀!。ガラスっぽい質感ではっきり解らない上に時々結晶がトゲを出して形が曖昧になるのだが、髪型までデスラー総統である。「君達に我々はほとんど殺されてしまった。地球移住はあきらめる。しかし我々は屈辱を忘れない種族だ」とかいって地球に惑星破壊レベルのミサイルを発射。ヤマトは波動砲口をふさがれていて、波動砲が使えない。沖田艦長に指示を仰ぎに行こうとした古代だが、佐渡先生の顔を見て艦長はもう死んでいることを知る。絶体絶命。地球は、ヤマトはどうなる!?(まあご想像の通りです)。

とまあ、あらすじの羅列にちょっと感想を加えた文章になってしまったが、小学生の頃から「謙治君、感想とあらすじは違うのよ」と指摘され続けた僕なので仕方ない。

ガミラス=イスカンダル人の設定は実際SFではよくある類の非ヒューマノイド型宇宙人の類型なので極めて納得しやすい。実写で白人が「はっはっは、ヤマトの諸君」とかやられたらがっかりだしね。描写の点でなかなか考えてるなと思ったのは、最初人の言葉をしゃべらないガミラスが、斉藤に乗り移ってしゃべるシーン。基本的に精神生命体に近い存在でありながら、結晶体という実体を持っているので、実体化しているときは物理攻撃で倒すことができる。また、一旦人間の脳に憑くことで人間の言語を習得することが可能らしい。集合知整体なのである個体が習得した知識はガミラス全体で利用可能になるのだろう。地球との戦争で初期は地球側の対応が可能だったのに非常な短期間で防御、攻撃を進歩させることができた理由もそのあたりにあるのだと考えられる。なお、最初に斉藤にとりついた個体が「デスラー」と名のっているのだが、集合知整体なので個体と全体の区別はあまりなく、種族そのものを指す名称が「デスラー」なのだと思われる。「ガミラスは君達が付けた名前だ」みたいなことを言ってたし。

イスカンダルは雪の体を使って会話をする(声はスターシャ/テレサを演じた上田みゆき)。ガミラスから分離された部分であるイスカンダルはこの時点でガミラスの情報網から切り離されており、地球の言語を操るにはやはりこの方法を使うしかなかったのだろう。一方、地球近傍でヤマト艦橋に出現したデスラーは人型の実体を形作り、そのまま言語をしゃべっている事から、斉藤との接触から得た情報を再利用したのだと思われる。

こういう設定にすることで、声に伊武雅刀を使い、デスラー総統のビジュアルを使いながらチープにならず、うまくまとめることができている。

ちょっと突っ込みたかったのは、ガミラスでの戦いで波動砲口に打ちこまれたドリルミサイルっぽい蓋。あれ、地球圏に戻るまでずーっと付けっぱなしなんだよね(笑)。ラストで波動砲を使えなくするための仕込みが解りすぎる上に「いやいくらなんでも地球に戻るまでには外せるだろう」と思っちゃうから、蓋付のヤマトが画面に出るたびに「まだつけてんのか」って思ってしまう。きっとあれだな、真田さんが生きてれば内部に入って配線繋ぎ直して逆回転させたはずだ(笑)。うーん、これは地球近傍で巨大艦が出現したときに打ち込まれたほうがよかったんじゃないかなあ。ボッコボコにやられて起死回生の波動砲を撃とうとした瞬間にあれを打ち込まれて、そこにデスラー登場という感じで。

あと、艦橋とかの内装デザインが松本的でないのは全然かまわないんだけど、それにしても今から180年以上未来にしては現代的すぎないかなという点。まあそこは別にいいか。

それと、「さらば」が好きな人なら大丈夫だと思うけど、結局特攻オチというのは一部の人には不快だろうと思う。

トータルで僕は大変楽しく見ることができたし、上映中いろんなシーンで小さくガッツポーズをとる事があった。ささきいさおの「無限に広がる大宇宙」のナレーションでちょっとうるっとした。そんな映画だった。

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